聖書の書き写しを終えて Tさん
写経キャンペーンのチェック表に「自分のペースでみことばを味わいながら、祈りの心を持ってゆっくり書き写そう」とあり、この言葉に動かされて書いてみようと思い立った。人一倍書く事の遅い私だが、出来る所まででも無駄ではないと、軽い気持ちで始めたのだが完了まで足掛け五年の歳月を要した。最初の頃は、味わいながらゆっくり書き写していたのだが、全く進まず、いくらページを繰って書き写しても同量?が残って居り、修正液も手放せなくなった。これでは十年掛けても描けないと思った頃、神様は山口への巡礼や五島の巡礼を用意して息継ぎをさせて下さりその都度、初心にかえり写経に向かうことが出来た。しかし試練を与えることもお忘れにならず、白内障の手術に始まり、帯状疱疹、腰部脊柱管狭窄症、痛みと痺れに悩まされ(後に手術に至るのだが)、独り居には辛い日々で、痛みの酷い時は立ってキッチンカウンターで書く事もあったが、なんとか耐えられた。だが、この試練は多くの人の沢山の優しさを頂いた時でもあった。
「ほぼ五年 かかりし聖書の書き写し 完成に友の赤飯届く」
完了の聖書をキャリーバッグに詰め、広島司教区に運ぶ五月四日、狭窄症の痛みは酷く、バスを乗り継ぎアストラムラインへ、下車の県庁前から幟町教会まで我慢しながら引っ張り歩く傍らに、イエス様がいらっしゃる様な気がした。明くる日から歩行困難となる。書き写しが完了できたのは不思議なことである。
キリストの力が私の内に宿るように、むしろ喜んで自分の弱さを誇りましょう(コリントの信徒への手紙Ⅱ12―9)